技術の使い途 "amber" -SHISUI COAT-
数々のメゾンや有名ブランドに携わる工場と、ファッションの様々な分野のプロが携わって今シーズンからスタートするブランド"amber"
高い技術を誇るだけでなく、デザインや生地にも気の利いたものが多い。
その中でも(勝手に)象徴的に見えたのがこのコートだ。
「技術を誇る」場合にもいろいろな使い道や機転の利き方がある。
ぎじゅつ【技術】
1.科学の原理を(産業や医療・事務などの活動に)役立てて、ものを生産したり組織したりするしかた・わざ。「―の粋を尽くした設備」▷ 「技能」「技巧」「技芸」よりは社会的な見方で使う。個人的能力についても使うが、その場合にも客観的にまとまったものと見て言う。 technology に相当。 2.物事を巧みに(能率的に)行うわざ。「作文―」
Oxford Languageより
とあるように、「技術」は往々にして、特定の目的のために練られ、習得され、使われるもの。
このコートにも、この工場にしかできない特殊な技術が用いられているらしい。
「白いスプリングコート」というだけでも十分にファッション的な知見が働いているし、背中のタックが取られた部分も美しく、ファッションしてるなぁと感じるが、本当に拘られている部分はそこだけじゃない。
本来、針と糸が用いられる縫製部分が全て全く別の何かに置き換わっている。
ゴアテックスのシェルなんかに用いられる「止水テープ」つまり縫製面から浸水が起きないようにするためのテープでの処理。
話を聞くまで知らなかったが、通常、コットン素材には充てられない止水テープを、超音波を用いた技術によって接着したらしい。剥がれることは、そうそうないそうだ。
表から見てすかして見える止水テープが適度な違和感をもたらす。
ポケットの一部を除いて、針と糸での縫製が入る部分はごくごくわずからしい。
確かに、薄手のコートを着るときに縫製部分が肌にあたるのが気になることもある。
どうしても、縫製部分がボコッと浮き出るジャケットもある。
そうした部分を改善する一手として用いられた止水テープであるという旨の説明を受けたが、僕はどうしてもそのためだけのようには思えないかった。
だから買い付けた。
このコートには、自分達の技術力を誇示したい作り手の欲望が垣間見える。
縫製がどうの、着心地どうの、もちろんそれもあるし、成功していると思う。
ただ、それっぽい言葉ではなく、「技術力の高さ」を「デザイン」として転用して、
そこに美学を表そうとする「技術」の意図的な誤用、というか。
なんだ、それって、最高にクールじゃないか。
22SSからスタートする新進気鋭のブランド"amber"
コンセプトは"既着感のないデイリーウェア"
「着た事がないのにデイリー」とは、何?
菊池健斗
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