清濁を併せ呑んで "SADE" -PT01-



"SADE" -PT01-






SADEの商品はまともに紹介する前に8割がたいなくなってしまいました。

その中で1本だけ、kirettoに取り残された"PT01"のライトグレー





サイドアジャスターを絞って履くベルトレスのトラウザー。

本来ウェスト周りをスッキリさせる仕様のはずなのに、太いウェスマンにフロントにはボタンが6つ。
どう考えても様子がおかしい。

加えて膝から裾にかけて緩やかに広がるセミフレアのシルエット。
セミフレアに「馴染みがある」という人は、おそらくそう多くはない。

レファレンスはデザイナーが以前見たフランスのヴィンテージ、ビスポークスーツらしい。

このオーダーをした当時の紳士も、それを落とし込んでデザインにしたSADEも我々の想像を遥かに超えたここではない何処かから服のことを考えているとしか思えない。





片ポケットのバックスタイルもクラシックさが感じられて余計に解釈に困る。

エグみはありながら、太いフロントのせいで強制的にハイウェスト気味に履くことになる仕様のおかげでシルエットはあくまで美麗。




セミフレアの裾が少し溜まってゆらっとするシルエットが美しい。

6つのボタンには確かに違和感を覚えるけど、慣れてしまえばどうってことない、はず。




慣れるまではタックアウト、ある日を境にタックインして履いてみたらどうだろう。

見慣れないエグみは、毎日鏡でみていたらきっとどうってことはなくなる。

自分が慣れて胸を張って歩ければ、周りから見てもおかしくは見えないだろう。






ライトグレーの色味もなんとでも合わせられるので、「ただのライトグレーのかっこいいセミフレアのトラウザーズ」だと思って一度手にとってみればいい。



接客していて気づいたのだけれど、どうやら「ライトグレーのパンツが苦手」な人は結構多いみたいだ。全然知らなかった。
このパンツは決してとっつきやすいものではないかもしれないけど、ディティールに惹かれた人はそれを機にライトグレーに挑戦する機会にもなるはず。


「正道のもの」と捉えても「邪道なもの」として捉えてもどっちも間違いじゃない。

"STRANGE CLASSIC" を地で行くSADEのアイコニックな一本。


「セミフレア」「サイドアジャスター」「ライトグレー」「変なフロント」
「サマーウール」の「スラックス」

要素を分解したら、そのうちの半分くらいは馴染みのあるもののはず。
残りの要素は一回呑み込んでみて、SADEの提案に身を任せてみたい。



「どうせ売れちゃうんだろうなぁ」と思っていたら案外一本残っているので、毎日自分のものにしようか悩んでます。










菊池健斗


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